※令和3年12月13日編集
※令和6年2月13日編集
発達障害(ASD+ADHD)と
診断されているネスケです
妻のネス美です
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ネスケと暮らし始めた頃のわたしは、『カサンドラ症候群』だったと言っても良いのでは?という状態でした。
『カサンドラ症候群』は、発達障害を調べると必ずと言って良いほど目にする機会が多いと思います。
カサンドラ症候群は正式な疾患名ではありません。
そのため、診断基準がありません。
カサンドラ症候群とは
ASD(自閉スペクトラム症)の身近な方が、適切な意思疎通や適切な関係が築けずに『精神的・身体的に問題が生じている状態』を指す言葉になります。
※正式な疾患名ではないため、診断基準もない。
カサンドラ症候群は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方のパートナー(その他身近な存在)に起こる症状と言われます。
原因をしては『ASDの特性からコミュニケーションが上手くとれないこと』がありますが、ADHD(注意欠如・多動症)の特性を持っている方のパートナーの方もなることがあります。
そしてカサンドラ症候群の方の中には、愛着障害を抱えている場合や発達障害の特性を持っている場合もあるようです。
わたしがカサンドラの時に、愛着障害とか発達障害とか「わたし側に問題がある」って言われたら受け入れられなかっただろうな。
喧嘩になったとき、ネス美に「お前が悪い」って言ってたな。
いや、そういうのとは違うよ?
それもムカつくけどね。
『コミュニケーションが上手くとれない』ことは、様々な問題へと繋がっていきます。
今回は『カサンドラ症候群』の、症状や特徴について書いてみようと思います。
関連記事:
『カサンドラ症候群②』では、発達障害のどんな特性などが原因でカサンドラ症候群になるのか?私とネスケの場合は?などを書いています。
『カサンドラ症候群③』は、私が調べた対処法と、私のネスケへの対応を書きます。
その他わたしの考え方が変わったきっかけと、ネスケが変わった理由などなど。
カサンドラ症候群と思われる特徴
カサンドラ症候群は正式な疾患名(病名ではない)ので、診断基準はありません。
ですが発達障害のパートナー(その他身近な存在)の方の多くは、心身状態に問題が生じるということが少なくはありません。
カサンドラ症候群と思われる特徴は、いくつかあります。
パートナーが『発達障害』ということに気づかないまま、自分を責めてしまったり、パートナーの言動に傷つき訳も分からないまま『身体的・精神的に不安定な状態』になってしまう。
とても辛い状態です。
カサンドラ症候群は病名ではなく、精神状態(状態像)を表す呼称です。
~わたしが『カサンドラ症候群』だったかもしれない頃~
偏頭痛も不眠もネスケに出会う前からあったため、その他の状態を思い出しつつ書いてみます。
とにかく、情緒不安定でした。(ヒステリックになったかと思うと無気力になる)
1番強く出ていた特徴は『わたしが悪いんだ』と、自分を責めるという気持ちです。
『ネスケに伝わらないのも、分かってもらえないのも、わたしが上手く説明できないからだ。』と思っていました。
他にも『わたしの考え方が間違っている(わたしの考え方がおかしい)』という気持ちも強くありました。自信満々に「お前の言っていることはおかしい」という言葉に、『ああ、わたしが間違っているんだ。』と思っていました。
反論はしていましたが、その内自分の言動に自信が持てなくなっていきました。
後は「強い孤独感」です。
狭いワンルームにネスケと2人でいるはずが、独りと感じる。
長期的に続くこともあります
カサンドラ症候群は、強いストレスから身体的・精神的にさまざまな症状があらわれている状態と言えます。
診断基準がないために、明確な基準はありません。
身近にサポートしてくれる方がいない場合、カサンドラ症候群の状態が長く続いてしまうことになります。
身体的症状『不眠、体重の増減、倦怠感(疲労感など)、頭痛』や精神的症状『抑うつ、自己評価の低下、無気力、情緒不安定、孤独感』などが長期的に続くことで、精神疾患を合併して発症する恐れもあります。
離婚をして離れたとしても、症状が続いている場合もあります。
カサンドラ症候群の主な原因は『コミュニケーションが上手くいかない』
発達障害の診断をされていなくても、発達障害の特性を持っている方と接していることで『カサンドラ症候群』の状態が起こると言えます。
カサンドラ症候群の原因とは
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持っている方のパートナー(その他身近な存在)に、カサンドラ症候群の症状があらわれるといわれています。
『コミュニケーションがうまくとれない』、『パートナーとの困りごとに周囲からの共感をえられない』などのストレスから、強い孤独感を抱いたりしてしまう。
そのことから、身体的・精神的に問題が生じてしまう。
パートナーからも周囲からも、共感を得られない状態というのはとても苦しく辛い状態です。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ方の中には、ある程度の社会適応性を身につけている方も少なくはありません。
その場合、自身が感じている困りごとへの周囲の共感は得られにくいものとなります。
カサンドラ症候群を起こしている方の、『困りごと、苦しみ』に気づくことが遅くなってしまいます。
パートナーからも周囲に『困りごと・苦しみ』を訴えても、理解してもらえず孤独感が増してしまう。
このことから、症状がさらに悪化してしまう。
~ネス美があの頃を振り返る~
あの頃のわたしは『自分の中のふつうに縛られていた』
「ふつうはこういう時、こう言ってくれるものじゃないの?」
「ふつうこんな時に、そんなこと言うか?」
「ふつうはこんな状態のわたしに、こうしてくれるんじゃない?」
「ふつうは~」ばかりでした。
わたしの誕生日に、ありえないことから大喧嘩。
わたしが落ち込んでいても、いつも通りにゲームをしている。
けれど、全てが上手くいかないわけではないんです。
分かってくれないことと、分かってくれることの差が激しい。
今ならわかりますが、ネスケの経験値によるものだと思います。
現在では、わたしの中の『ふつう』ではなく、わたしとネスケの『ふつう』を増やしています。
周囲にも理解してもらえないのも辛い
この気持ちをうまく言葉に表すことができないのですが…。
発達障害であるネスケへの『困りごと』を、友達に話しても細かい部分が伝わらないんです。
大まかな部分は伝わっているけれど、「ちがうの、そうじゃないの。」と毎回思っていました。
発達障害を知らない人に困りごとを伝えることは、とても難しいと感じています。
わたしは『話せば話すほど、もやもやが溜まっていく』そんな状態になっていました。
誰にでもあるようなこと、どこの家にもあるようなことだけど。
違うんだよ。どこにでもないようなことなんだよ…。
伝わらないことにより、わたしがどうなったか?
友達に相談すればするほど、『自分が間違っている』という気持ちが強くなっていくことになりました。
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カサンドラ症候群になりやすい傾向がある人
カサンドラ症候群の男女の割合は、女性の方が多いと言われています。
これは、ASD(自閉スペクトラム症)の割合が、男性の方が多いためです。
実際には、男性もカサンドラ症候群を発症します。
その他、アダルトチルドレン傾向を持つ方も多いと書いてある本もありました。(参考図書:『私の夫は発達障害?』著者:真行結子)
わたしもそうなんですが、ネスケの言動に対して傷ついたりイラっとしたときに『これくらいは、まあ…いいか。』とやり過ごしてしまうことがありました。
ネスケにそのことを伝えないので、もちろんそのことにネスケは気づきません。
他の人に対しての失礼な言動に対しても、わたしがその場を丸く収めて「ネスケのミスはわたしが何とかしなければ」と思っていました。
ネスケに対しての『わたしが何とかしなければ』という気持ちは、気づかないうちに心身の不調へとつながっていたのかもしれません。
今のわたしは『良い意味での諦めと、良い意味での放置』をしています。
距離感がとても大事だと身をもって実感しました。
面倒見が良い方だと「私が何とかしなければ!」と頑張り過ぎてしまう。
けれどその頑張りに対して、なにも返ってくるものがなく虚しくなったり。
孤独感へと繋がってしまいます。
当時のわたしが良く言っていたのは『鳴らない太鼓を一生懸命叩いている気がする』です。
カサンドラ症候群が起こる関係とは夫婦だけではない
パートナーだけでなく、家族にもカサンドラ症候群は起こります。
その他身近な方にも、起こる可能性はあります。
家庭以外でも日常的にコミュニケーションをとる場合には、カサンドラ症候群になる可能性は高いと言えます。
カサンドラの由来は
「カサンドラ」とは、古代ギリシャ神話に登場するトロイの王女の名前です。
太陽神アポロンに愛されたカサンドラは、アポロンから予知能力を授かる。しかし、その能力でアポロンに捨てられる未来を予知したカサンドラは、アポロンの愛を拒絶したので、怒ったアポロンに「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけられた。カサンドラは真実を知って伝えても、人々から決して信じてもらえなかった。
出典:Wikipedia
困りごとや苦しみを、パートナーにも周囲の人にも分かってもらえないのは辛いですよね。
カサンドラ症候群の治療は
心身状態に現れている状態に対しての、治療が主なものとなります。
薬物療法やカウンセリングなどがありますが、その場合は病院に行かなければなりません。
心身状態の問題から病院に行くことによって、パートナーや家族などに発達障害があることが分かることがあります。
そして、カサンドラ症候群と言われる状態になっていること初めて気づく方も多いと思います。
薬物療法はあくまでも対症療法
症状として現れているものへの対処療法となります。
薬物療法は、あくまでも対症療法です。
不眠、抑うつ、頭痛などに対しては、薬物療法にて対症療法を行います。(症状の緩和)
眠れない日々が続くと、深刻な問題が生じることにも繋がるため軽視しない方が良いと思います。
発達障害の特性の理解は自分の気持ちを軽くすることにも繋がります
発達障害の特性の理解を深めたことが、わたしの気持ちを楽にすることに繋がりました。
その結果、ネスケに対しての対応も変わり、ネスケのわたしへの対応(言動)も変わっていきました。
ネスケの『できること、できないこと』が分かっていくことで気持ちを軽くし、『良い意味での諦め』ができるようになりました。
同じようにネスケにも、わたしのこと『できなことや、されたら嫌なこと』などを理解してもらえるよう伝えました。
分からないというより『気づいていない』ことが多いので、伝えることが大切だと今も思っています。
伝え方も工夫するようになって、コミュニケーションのとりかたの改善に繋がっています。
『分かってくれない(察してくれない)』から、『分かってもらえるように伝える(伝え方の工夫)』。
特性を理解していくことは、お互いの関係性の改善にも繋がります。
お互いの関係の改善には、もちろん発達障害の特性を持つ当事者の自己理解も大切です。
自分の特性を理解するまで持っていくのが、とても大変なので(ネスケは何年かかったか…。)簡単にはいかないかもしれません。
分かってくれない、聞いてくれないというのは、パートナーであるあなたのことを大切に思っていないということではありません。
今の関係性によっては断言できませんが、多くの場合は特性から理解することが難しいということです。
理解できない頃は
『ネスケが悪い』とだけ思っていたな。
距離をとるは「別居」「離婚」も選択肢の一つ
わたしの場合は、お互いの部屋を作ることで距離をとることができました。
ワンルームに2人で暮らしていた当時のわたしは、『二人でいるのに独りと感じる』という孤独感でいっぱいだったのに、部屋を分けることによって楽になるなんて思いもしませんでした。(笑)
顔を合わせる回数が多いと、余計なストレスと問題が多く発生してしまいます。
簡単に考えると、顔を合わせる回数を減らせばストレスも減るのかな?
「別居」という選択肢もあります。
『心の安定を取り戻せるのなら別居も悪くない』と、わたしが読んだ本には書いてありました。(私の夫は発達障害?(著者:真行結子))
別居にもいろいろなカタチがあります。
少しの間だけ別居や週末だけ同居、お互い部屋をもつ家庭内別居などそれぞれに合う別居のカタチを探すのも良いのではないでしょうか。
最終的になるかもしれませんが、「離婚」もあります。
なかには離婚後も苦しんでしまう場合もあるようですが、自分が幸せになるための離婚は選択肢の一つになります。
カウンセリングはいろいろなことに気づける
パートナーとの話し合いが大切かと思いますが、最初から話し合いは難しいとも思います。
ネットや本には『第三者を交えての話し合い』と説明されていることがありますが、第三者に誰を選ぶかも難しい話です。
カサンドラ症候群の症状がある多くの方は、パートナーが受診していない(もしくは、診断されていない)のではないでしょうか?
ネスケは診断済みなので通院していますし、その病院でカウンセリングも受けています。
わたしの場合は、ネスケの通院している病院で『家族カウンセリング(カップルカウンセリングもあるらしい)』というものを受けているんです。
ネスケ担当の心理士さんと同じ方なので、ネスケの特性を理解しているためとても有意義なカウンセリングを受けることができています。
ネスケも変わりましたが、わたしの考えや捉え方も大きく変わりました。
ちなみに、ネスケの大きく変わったところは『わたしの話を黙って聞いてくれるようになったこと』です。
家族カウンセリングを受けて、わたしが変わったことはいくつかあります。
わたしが読んだ本には『夫婦療法』について書かれています。(子どもの面倒を見ない。お母さんとの会話が少ない お父さんが発達障害とわかったら読む本(監修:宮尾益知))
『夫婦の間で起こったさまざまな問題に焦点をしぼり、解決するために行うカウンセリング』と説明されています。
わたしが受けている『家族カウンセリング』も同じです。(カップルカウンセリングもあります)
夫婦そろって受けるか、1人で受けるか、そのうち2人で受けるかはその時の状態により選び方が違うと思います。
ネスケとわたしに合っていたカウンセリングは、別々にカウンセリングを受けるカタチです。
発達障害と診断されたころは、発達障害支援センターで2人一緒にカウンセリングを受けていましたが、喧嘩のもとになってしまいました。
今の2人なら大丈夫かもしれませんが、当時のわたしたちは一緒にカウンセリングを受ける状態ではなかったようです。
1つ問題をあげるとすると、『自分に合った心理士を見つけることが難しい』ということです。
医療機関(病院)や発達障害支援センター以外にも、民間企業の心理相談(カウンセリング)があります。
料金もそれぞれ違います。
受診を勧めることによって悪化することもある
まず最初に、発達障害の特性を持つ方が受診をして、『発達障害』と診断されたとしてもそこで終わりではありません。
気持ち的には少し楽になるかもしれませんが、わたし達の場合は診断されてからが大変でした。
ネスケが『発達障害』を受け入れるまで何年かかったか分かりません。
受け入れたあとに、ネスケが『自分の言動に問題があるかもしれない』という考えが頭に浮かぶようになりました。
問題があるかもしれないと思っても、こだわりなどから行動に移すのは難しいようです。
発達障害は『脳の機能障害』です。
『治る』ということはありません。
受診をすることは1つのきっかけになりますが、劇的になにかが変わることはないと思います。
受診をすることに対して、抵抗感を持つ方も多いと聞きます。
そして、受診しても『発達障害』の診断が下りないという場合もあるようです。
その場合は、受診を勧めたパートナーに対しての不信感や不快感などから、関係性が悪化するケースもあります。
他にも、ネスケにもありましたが『俺は発達障害なんだから仕方がないだろ』と、理解していないわたしを責めるような場面もありました。
受診して診断されることは、終わりではなく始まりだと感じています。
『受診』は、変わるきっかけの1つにすぎません。
最後に…
カサンドラ症候群は、気力体力が消耗している状態です。
とにかく回復に努めてください。
心身ともに休ませてあげてください。
お子さんがいる場合は、休むことは難しいかもしれません。
ですが1人の時間を少しでも増やしていき、心も体も休む時間が必要です。
理想は『お互いに特性を理解する』です。
わたしは、発達障害であるネスケを責めていたときもあります。
ですが、ネスケは『したいと思っている言動ではない』ことで、わたしを苦しめてしまっていたことにネスケ自身が傷ついていたことを知りました。
『分かりたいのに分からない』というネスケの苦しみを知りました。
だからと言って、傷ついたわたしの気持ちは良いのか?と言ったらそれも良くない。
難しい問題だと思います。
良い意味での諦め
良い意味での距離を置く
良い意味での放置
決して悪い意味ではなく、これからの関係性を良くするための方法だと思います。
ネスケは「なんか嫌だ」と思っても、自分の気持ちを言葉で伝えることが苦手です。
そんな時は、感情的になってプチパニックを起こしてしまいます。
パニックからの怒声と知らなかったときは、ただただ悲しいという感情しか(ムカついてからの悲しい気持ち)ありませんでした。
今ならパニックを起こしていると分かり、その場に応じた対処ができます。
それだけでも、以前の2人とは違う関係性になっていると思います。
もちろん、ネスケの自己理解が深まったことも大きく関係しています。
2人に合った伝え方の工夫をして、これからも一緒にいられたら良いと思っています。
【参考図書】